はじめに
古物商許可を取得した後、「これでネット販売を始められる」と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、古物商許可は取得して終わりではありません。メルカリ、ヤフオク、自社ホームページ、InstagramなどのSNSを利用して古物を販売する場合、許可取得後にも確認しておくべき表示義務や取引記録、本人確認などのルールがあります。
特に、古物商許可を取得したにもかかわらず、営業所の標識を掲示していない、ネットショップ上に必要な情報を表示していない、取引記録を残していないといった場合には、古物営業法上の問題となる可能性があります。
この記事では、古物商許可を取得した後に行うべきことについて、メルカリ・ヤフオク・自社サイト・SNSで販売する場合の注意点を中心に解説します。
古物商許可を取得したら最初に確認すること
古物商許可を取得した後は、次の事項を確認しましょう。
- 許可証の内容に誤りがないか
- 営業所の名称や所在地に変更がないか
- 営業所に古物商の標識を掲示しているか
- 管理者や役員に変更がないか
- インターネット販売に必要な表示を確認したか
- 古物の仕入れ・販売に関する記録方法を決めたか
- 本人確認の方法を整備しているか
- 許可取得時の申請内容と実際の営業形態が一致しているか
古物商許可を取得した後に営業方法を変更する場合、変更届出が必要になるケースもあります。
たとえば、営業所を移転したり、法人の代表者が変更されたり、ホームページを使った古物販売を始めたりする場合には、事前に確認することが大切です。
営業所に古物商の標識を掲示する
古物商許可を取得した場合、営業所には古物商の標識を掲示する必要があります。
この標識は、営業所において古物営業の許可を受けていることを表示するためのものです。
標識には、一般的に次のような情報が記載されます。
- 古物商であること
- 許可を受けた公安委員会名
- 許可番号
- 個人事業主の場合は氏名
- 法人の場合は法人名
標識は、営業所の見やすい場所に掲示します。
営業所の奥や来訪者から確認できない場所に設置するのではなく、店舗の入口付近や受付、事務所の見やすい場所など、必要な表示を確認できる場所に掲示することが重要です。
なお、標識の記載内容やサイズなどについては、管轄の警察署や都道府県公安委員会の案内を確認してください。
メルカリで古物を販売する場合の注意点
メルカリを利用して古物を継続的に仕入れ・販売する場合、単なる不用品処分ではなく、古物営業に該当する可能性があります。
不用品の処分と古物営業の違い
自分が使用していた物や、家族から譲り受けた物を一時的に売却するだけであれば、通常は古物商許可が問題になるケースは多くありません。
一方で、次のような場合には、古物商許可が必要となる可能性があります。
- 販売する目的で古物を仕入れている
- 継続的に中古品を販売している
- 仕入れた商品に利益を上乗せして販売している
- メルカリで仕入れと販売を繰り返している
- 事業として中古品の買取・販売を行っている
メルカリで販売するから特別に許可が不要になるわけではありません。販売場所がメルカリであっても、事業として古物を取り扱う場合は、古物営業法上のルールを確認する必要があります。
メルカリで販売する場合の表示
メルカリのプロフィール欄や商品説明欄にどのような情報を表示するかについては、メルカリの利用規約や特定商取引法上の表示義務なども関係します。
古物商許可を取得している場合でも、販売プラットフォーム側の規約に従う必要があります。
また、古物商許可を取得したからといって、許可番号を商品の説明欄に表示すればすべての義務を果たせるとは限りません。営業形態に応じて、必要な表示や取引記録を確認することが大切です。
ヤフオクで古物を販売する場合の注意点
ヤフオクで継続的に中古品を販売する場合も、古物商許可取得後の義務を確認する必要があります。
仕入れを行う場合は取引記録に注意
古物商は、古物を買い受ける場合などに、相手方の確認や取引内容の記録が必要になることがあります。
ヤフオクを利用して古物を仕入れる場合には、次のような情報を記録・保存できる体制を整えておくことが重要です。
- 取引日
- 古物の種類
- 商品の特徴
- 取引相手に関する情報
- 取引金額
- 取引方法
- 商品の仕入先
- 出品ページや取引画面の記録
取引画面やメッセージを保存するだけで十分かどうかは、取引の内容や確認方法によって異なります。
「ヤフオクの取引履歴が残っているから問題ない」と自己判断せず、古物営業法上必要な記録を確認しておきましょう。
出品ページの表示にも注意
ヤフオクの出品ページでは、商品情報、販売者情報、返品条件、発送条件などを分かりやすく表示することが重要です。
また、継続的に販売する場合は、古物営業法だけでなく、特定商取引法、消費者契約法、景品表示法など、別の法律が関係する可能性もあります。
自社ホームページで古物を販売する場合
自社ホームページやネットショップを使って古物を販売する場合は、メルカリやヤフオク以上に、表示内容やサイトの管理に注意が必要です。
古物商の許可情報を表示する
古物商がインターネットを利用して古物の売買を行う場合、ホームページ上に許可を受けた公安委員会名、許可番号、氏名または名称などを表示する必要がある場合があります。
表示場所は、サイトを訪問した人が確認しやすい場所にします。
たとえば、次のようなページに表示する方法が考えられます。
- 会社概要
- 特定商取引法に基づく表記
- 古物商許可についてのページ
- フッター
- 販売者情報のページ
ただし、単にトップページに許可番号を記載すればよいとは限りません。表示方法や内容については、法令や管轄警察署の案内を確認する必要があります。
特定商取引法上の表示も必要
自社ホームページで商品を販売する場合、古物営業法だけでなく、特定商取引法上の表示も必要になることがあります。
一般的には、次のような情報を表示します。
- 販売価格
- 送料
- 代金の支払時期
- 商品の引渡時期
- 返品・キャンセルに関する事項
- 販売事業者の氏名または名称
- 所在地
- 電話番号
- 代表者または責任者の氏名
- 代金の支払方法
表示内容は、販売方法や事業者の形態によって異なる場合があります。
「会社概要」だけを作成して終わりにせず、ネット販売に必要な表示を一つずつ確認しましょう。
SNSで古物を販売する場合の注意点
Instagram、Facebook、XなどのSNSを利用して古物を販売する場合にも注意が必要です。
SNSで商品を紹介し、購入者を自社サイトやメッセージに誘導して販売する場合、実質的にネット販売を行っていると判断されることがあります。
SNSで商品を紹介するだけなら問題ない?
SNSで商品の写真や情報を紹介するだけなのか、SNS上で購入申込みを受け付け、代金を受け取って販売するのかによって、必要な対応は異なります。
次のような方法で販売している場合は、特に注意が必要です。
- DMで注文を受け付けている
- SNS上で価格を表示している
- SNSから銀行振込や決済に誘導している
- SNSのライブ配信で商品を販売している
- SNS上で継続的に仕入れ・販売を行っている
- SNSから自社ホームページへ誘導している
SNSは気軽に始められる一方で、投稿内容や販売方法によっては、広告表示や特定商取引法上の表示が問題になる場合があります。
投稿内容と実際の許可内容を一致させる
許可を受けている営業所とは異なる場所から商品を発送している場合や、申請していない形態で仕入れを行っている場合には、許可内容との関係を確認する必要があります。
営業方法を変更する際には、古物商許可への影響を事前に確認しましょう。
古物を仕入れるときの本人確認
古物商が古物を買い受ける場合、取引相手の本人確認が必要になることがあります。
本人確認の方法は、対面取引、非対面取引、インターネット取引などによって異なります。
ネット上で古物を仕入れる場合には、相手方の氏名、住所、年齢などを確認するだけでは足りないケースもあります。
メールやSNSのやり取りだけで本人確認を完了したつもりになっていると、必要な手続きを満たしていない可能性があります。
特に、次のような取引を行う場合は注意が必要です。
- 個人から中古品を買い取る
- SNS経由で商品を仕入れる
- オンライン上で買取を完結させる
- 宅配買取を行う
- 出張買取を行う
- フリマアプリやオークションサイトを通じて仕入れる
非対面での本人確認には、取引方法に応じたルールがあります。取引相手の情報を確認するだけでなく、法令上適切な本人確認方法を採用する必要があります。
取引記録や帳簿を作成する
古物商許可を取得した後は、古物の売買や交換に関する記録を適切に残すことが大切です。
帳簿には、一般的に次のような情報を記録します。
- 取引年月日
- 古物の品目
- 古物の特徴
- 相手方の氏名・住所など
- 取引金額
- 仕入れまたは販売の区分
- 取引方法
記録方法は、紙の帳簿だけでなく、パソコンや専用システムを使用できる場合もあります。
ただし、必要な情報が記載されていなければ、帳簿を作成しているとはいえません。
メルカリやヤフオクの取引履歴、自社サイトの注文履歴、SNSのメッセージなどを利用する場合も、法令上必要な記録が残るよう整理しておくことが重要です。
古物商許可取得後に変更があった場合
古物商許可を取得した後、次のような変更があった場合には、変更届出などが必要になることがあります。
- 営業所の所在地を変更した
- 営業所を追加した
- 営業所を廃止した
- 法人名を変更した
- 会社の所在地を変更した
- 代表者が変更された
- 役員が変更された
- 営業所の管理者が変更された
- ウェブサイトのURLを変更した
- ホームページでの販売を開始した
- 事業内容や営業方法を変更した
必要な手続きや期限は、変更内容によって異なります。
変更があるにもかかわらず手続きを行わずに営業を続けると、行政上の指導や手続き上の問題につながるおそれがあります。
変更があった場合は、早めに管轄の警察署や行政書士へ相談しましょう。
古物商許可取得後によくある間違い
許可証を取得したので標識は不要だと思っている
許可証を保管していても、営業所に標識を掲示する義務が別にある場合があります。
許可証と標識は役割が異なるため、それぞれ必要な対応を確認しましょう。
メルカリなら古物営業法の対象外だと思っている
メルカリやヤフオクなどのプラットフォームを利用していても、継続的・反復的に仕入れと販売を行えば、古物営業に該当する可能性があります。
販売場所ではなく、取引の実態が重要です。
SNS販売なら届出は必要ないと思っている
SNSを使った販売でも、実質的に古物の売買を行っていれば、古物営業法や特定商取引法などの確認が必要になります。
自社サイトに許可番号だけ記載すればよいと思っている
許可番号の表示だけでなく、販売事業者情報、返品条件、価格、送料など、他の表示義務が必要になることがあります。
取引履歴が残っていれば帳簿は不要だと思っている
プラットフォームの取引履歴は便利ですが、法令上必要な項目がすべて含まれているとは限りません。
取引履歴を保存するだけでなく、必要な情報を整理して帳簿として管理しましょう。
古物商許可取得後の手続きは行政書士に相談できます
古物商許可を取得した後に必要なことは、営業形態によって異なります。
特に、次のような場合は、行政書士への相談をおすすめします。
- 古物商許可取得後にメルカリ販売を始めたい
- ヤフオクで継続的に仕入れ・販売したい
- 自社ホームページでネットショップを開設したい
- SNSを使って中古品を販売したい
- 非対面取引における本人確認方法を確認したい
- 帳簿の作成方法を知りたい
- 営業所の標識やプレートを正しく設置したい
- 営業所を移転した
- 代表者や管理者が変更になった
- 法人化した
- 営業形態を変更した
- 変更届出が必要か分からない
- 古物商許可を取得したが、何をすればよいか不安
許可取得後の義務を確認せずに営業を続けると、後から表示の修正や帳簿の整理などに手間がかかることがあります。
事業を始める前、または営業方法を変更する前に、必要な対応を確認しておくと安心です。
松浦正樹行政書士法務事務所へご相談ください
松浦正樹行政書士法務事務所では、古物商許可の取得だけでなく、許可取得後の変更届出、営業所に関する手続き、ネット販売やSNS販売に関するご相談にも対応しています。
次のようなお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
- 古物商許可を取った後に何をすればよいか分からない
- メルカリやヤフオクで販売を始めたい
- 自社ホームページで古物を販売したい
- SNS経由で商品の注文を受けたい
- 古物商の標識やプレートについて確認したい
- ネット販売に必要な表示を確認したい
- 変更届出が必要か確認したい
- 帳簿や取引記録の管理方法を知りたい
- 非対面取引の本人確認方法を確認したい
古物商許可取得後の義務は、販売方法や取引形態によって異なる場合があります。
「許可を取ったから大丈夫」と自己判断するのではなく、実際の営業方法に合わせて必要な手続きを確認することが大切です。
古物商許可取得後の手続きやネット販売について不安がある方は、松浦正樹行政書士法務事務所までご相談ください。
まとめ
メルカリ、ヤフオク、自社ホームページ、SNSなどを利用して古物を販売する場合、古物商許可を取得した後にも確認すべきことがあります。
主な確認事項は次のとおりです。
- 営業所に古物商の標識を掲示する
- インターネット上に必要な許可情報を表示する
- 特定商取引法上の表示を確認する
- 取引相手の本人確認を適切に行う
- 古物の仕入れや販売に関する記録を残す
- 帳簿を作成・保存する
- 営業方法や営業所に変更があれば届出を行う
- プラットフォームやSNSの利用規約を確認する
- 事業内容と許可内容が一致しているか確認する
古物商許可取得後の対応を適切に行うことで、安心してネット販売を継続できます。
よくある質問
Q1. メルカリで中古品を販売するだけでも古物商許可は必要ですか?
自分が使用していた物を処分する目的で一時的に販売するだけであれば、通常は古物商許可が問題になるケースは多くありません。
ただし、販売する目的で商品を仕入れ、継続的に販売している場合は、古物商許可が必要になる可能性があります。
Q2. ヤフオクで仕入れた商品を販売する場合、何に注意すべきですか?
仕入れた商品の内容、取引相手の情報、取引日、金額などを適切に記録し、必要な本人確認を行うことが重要です。
Q3. 自社ホームページで販売する場合、許可番号を表示すればよいですか?
許可番号などの古物商に関する表示に加えて、特定商取引法上の表示が必要になる場合があります。
販売方法や事業者の形態に応じて確認しましょう。
Q4. SNSで商品を紹介するだけなら問題ありませんか?
商品を紹介するだけなのか、SNS上で注文を受けて販売するのかによって対応が異なります。
SNSを通じて継続的に古物を販売する場合は、古物営業法や特定商取引法などの確認が必要です。
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